
15年前のことだ。一戸建ての我が家には、一年中様々なお客さんが訪れた。春にはチョウ、トングムシ、ノレギ、夏にはコオロギ、セミ、クモなどだった。一番の悩みはネズミだった。
ある日、母親と一緒にネズミと虫を捕まえようと屋上からトイレ、倉庫まで隅々まで殺虫剤を撒いて薬を打った。その時、突然どこかで「ニャー」という声がした。我が家には猫がいなかったので、最初はあまり気にしなかった。ところが猫の鳴き声は夜明けまで続き、ある瞬間声がますます大きくなり絶叫に変わった。目が覚めた母親が慌てて外に飛び出した。私も母親に沿って屋上に向かった。母親は屋上の水タンクの方に懐中電灯を照らして「ああ、どうしよう!」と急いで手を伸ばした何事かと近づくと、子猫が水タンクに落ちてもがく光景が見えた。母猫は子猫を助けようと必死に叫んでいた。母親は急いで子猫を救い出し、タオルで拭いて心臓マッサージをしてあげた。そして部屋に連れてきてドライヤーでしばらく乾かしてあげた。ついに子猫が息を吐いた。子猫の鳴き声を聞いて入ってきた親猫が子猫を長い間なめてあげた。母猫はありがたかったのか、しばらく母親を見つめていたがやがて子猫を連れていなくなった。
しばらくして、不思議なことが起こった。もはや家にはクモの巣も、コオロギも、ネズミも見えなかった。
「殺虫剤の効果があるのかな?」と思った。しかし、私たちがいつも薬を打っても虫が出続けたため、奇妙だと思った。数日たってその理由がわかった。猫が恩返しをしたのだった。猫は私の家の厄介なネズミと虫を一つずつかんできた。猫のおかげで私の家族はネズミと虫の苦しみから解放された。母親は「お前たちも恩を返すことができるんだね」と言って感心しながら長い間、猫たちに餌を与えてやった。
この地の小さな生物たちも受けた恩を返そうとする。私は私を死から救ってくださった天の父と母に恩返しができなかったようで申し訳なかった。今からでも天の父と母に恩返しする人生を生きていかなければならない。