粉薬(こなぐすり)

韓国 順天 / ク・ヨンヒ

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対象ヘルペスで病院に入院した母親を我が家に集めた。三食お粥を作り、食後は薬を飲むのを手伝ってあげながら、私の幼い頃、特に錠剤をよく飲み込めなかったことを思い出した。薬を飲もうと、錠剤と水を口に含んでいくら飲み込もうとしても、水だけが喉の奥に吸い込まれていくのだった。錠剤は口の中に残ったまま少しずつ溶けるので、その苦さは舌を苦しめながらも喉の奥になかなか入ろうとはしなかった。そんな私を見かねた両親は、薬を砕いて粉状にして水に溶かしてくれた。すると不思議なことに、ゴクンと飲み込むことができた。飲み込むと、母親はすぐに飴を口にポイっと入れてくれた。

その母親は今、幼い頃の私のように錠剤を飲みこむことができない。なので、粉薬を小さな器に入れて飲ませる。「飲みたくなくても、飲んじゃえば早く治るんだから」と急かす末娘に促され、顔をしかめながら飲み込む母親の姿を見ていると、不思議な気持ちになる。

母親のケアをするうちに、天の両親の果てしなく大きな愛が胸の片隅に光を灯す。死の病に苦しむ天の子どもたちに、天の両親は「これを食べたら治るんだよ」と、切ない眼差しで新しい契約を口にふくませてくださった。気が進まなかったり駄々をこねる時も、私たちを責めるどころか、むしろ御自分の愛と犠牲によって細かく砕いて子供たちの口に含ませてくださった。その愛に、いかに報い尽くすことができるだろうか?天の両親の犠牲と愛に、心から感謝をささげたい。