待つ理由

ブラジル クイアバ / チョ・ソンイェ

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「お母さんはあなたを待って産んだんだよ」

昔から母からよく聞いてきた話だ。母親は結婚して子供が早くできることを願ったが、期待とは裏腹に長い間待った末に私を持つことができたという。おかげで周りの人たちのお祝いもたくさん受け、臨月の時は自慢したい気持ちでお腹をいっぱいに張って歩き回ったという。しかし、忘れた頃に持ち出す話の主人公である私は、あまり興味がなかった。あくまでも母がそういう気持ちだったということだからだ。たまになぜ同じ話を繰り返すのか理解できないこともあった。

ある日、対話法に関する本を読んでいて目が行くところがあった。高齢者たちが特定のことを繰り返して話す理由は、その事件が自分の人生で特別な価値があると考えるためだという内容だった。この文を読んだ途端、真っ先に思い浮かんだのは「あなたを待って産んだのよ」という母親の言葉だった。

母親が一生経験した数多くの出来事の中で私の誕生が特別に刻印されたという事実は、今に至るまでもその時のことを昨日のことのように話す母を見るだけでも理解できる。ただ子供という理由だけで私は世の中に生まれる前から母にとって非常に格別な存在になったのだ。

いつも変わらぬ御言葉で天国の希望を植え付けてくださる天の母が待たれる時間はどうだろうか?私たちに向けられた切ない愛がなかったら絶対に不可能だった待つための時間をじっと推し量ってみる。