
学校建設をしている、ある工事現場で、作業を開始する前に朝会が開かれました。現場で全ての責任を任されている監督が、作業員たちに問いました。「皆さんは、何のために働くのですか?」と尋ねると、ある人は「何か特別な理由など、あるでしょうか?ただ、食べていくために働くのです」と答え、ある人は「事業が倒産して借金を返済するために働いています。毎日、死にそうです」とため息をつきました。他の人々の答えも、似たようなものでした。その時、ある作業員が「私は、国のために働きます」と言いました。すべての視線がその人に注がれると、彼は自負心に満ちた表情で話を続けました。
「私の手で築いた学校で、未来の主役となる子供たちが歌を歌い、運動し、勉強をするでしょう。私は単なる労働をしているのではなく、人材を育て、ひいては国の発展のために貢献しているのです」
監督は、彼について上司に推薦状を出し、もっと大きな仕事を任せるように頼みました。
直接的に国政にかかわったからといって、国の仕事をするのではありません。会社員であれ、農夫であれ、教師であれ、運転手であれ、自分の仕事を黙々とこなす人こそが愛国者なのです。社会の各分野がそれぞれうまくいってこそ、国も発展できるからです。
「すべての国民は、それぞれ自分の天職に全力を尽くせ。それが、祖国に奉仕する道である」 ゲーテ