チューリップと風車の国オランダは、堤防を築き、湿地や湖を埋め立てて土地を形成した国として有名です。2020年1月正式名称として発表された「ネーデルラント」という名称は、現地の言葉で「低地の国」という意味ですが、その名のごとく海水面より低い地帯が多いので、海水の逆流による農土の塩化を防ぐために干拓が盛んに行われたそうです。その面積だけでも国土全体の6分の1に達します。そのためか、ここオランダの人々は「世界は神様が創造されたが、オランダはオランダ人が造った」と言うほど自負心にあふれています。
宣教師としてオランダに派遣された後、真理を慕い求め救いの便りを待っている魂を捜すため、現地の家族や長・短期宣教団と一緒に、福音の道に足を踏み出しました。残念ながら、神様を心から信じていたり、聖書の御言葉に関心のある人は、なかなか見つかりませんでした。ですが、無関心と度重なる冷遇にも負けず、結実が遅くなっても挫けずに、皆一つの心で真理を叫び続けた結果、宝石よりも貴く、どんな花よりも美しい魂に出会うことができました。それは、ベニャミン兄弟です。
母なる神様に関する聖書の御言葉を聞いて、すぐにシオンに来て、真理について詳しく調べた兄弟は、翌日、神様の子どもに生まれ変わりました。兄弟は昔から創世期の『神は言われた。我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。』(創1:26)という御言葉の「我々」が誰のことなのか、気になっていたそうです。どう見ても、神様が複数形で描写されているのに、通っていたプロテスタント教会では神様はお一人だとしか説明してくれないので、理解できなかったそうです。教会の信徒同士での頻繁な争いや不和を目にするたび、懐疑心さえ抱きそうになっていたその時、シオンの家族に出会ったのでした。
兄弟はスポンジが水を吸いこむように神様の御言葉を受け入れ、日々信仰を育てていきました。新型コロナウイルスの感染が拡大する前までは。一瞬にしてシオンに集まるのが難しくなり、私たちは皆、兄弟が信仰をしっかりと守ることができるか、家で一人で礼拝をささげることができるかと、とても心配しました。
ところが、私たちの心配は杞憂に過ぎませんでした。兄弟は過越祭の儀式を自ら執り行い、安息日の礼拝も一人で行いました。礼拝を終えた後は、説教を聞いて悟った内容を文字メッセージで伝え、恵みを分かち合ったりもしました。外部との接触制限が緩和されてからは、また御言葉をたゆまず学んでいます。兄弟の家からシオンまでは、交通機関で約一時間の距離なので、往復するのも簡単ではありませんが、来るたびに喜びと感謝の表情を隠せずにいます。家に帰る時は韓国語で「ポン・マニ・バドゥセヨ、アンニョンヒ・ケセヨ(祝福をたくさん受けてください、さようなら)」と挨拶する姿がとても謙虚です。肉の家族に聖書の御言葉を伝える時は、前に立って導く家族たちにまず知恵を求め、「私はまだ高慢すぎて天国に行けるかどうか心配です」と話す兄弟を見ていると、『神様はへりくだる者を救われる』(口語訳 ヨブ22:29)と言われた御言葉が胸に響きます。
オランダ語で「低い」という意味の「‘Ne’dering’」には「謙遜」という意味もあります。標高が最も低い国であるネーデルラントに、ベニャミン兄弟のように謙遜な姿勢で神様の真理を待っている魂が、どんなにたくさんいるだろうと想像するだけで胸がワクワクします。厳しい時期ですが、そうであればあるほど、人々に希望と勇気を与えることに、さらに力を注がなければなりません。神様が任せてくださった使命を果たすため、私たち皆で心を一つにして、最善を尽くします。オランダのアムステルダム、I’m strong!(アイム・ストロング)シオンの家族の皆さん、アニモ!