幸運の木の花のように

エクアドル・グアヤキル / シン・キョンスク

11,718 回視聴

小学生の頃、友達の家に遊びに行った時でした。リビングに 手入れの行き届いた様々な種類の草花を見て感嘆している私に、友達は一本の長い木を指して誇らしげに言いました。

「この花見える?幸運の木の花なんだけど、十年に一度咲くんだよ。本当に貴重な花でしょ」

「10年に一度、花が咲くって?」

草花なら、少なくとも年に一度は花を咲かせてこそ、草花の道理(?)を極めるのだと思った私としては、十年に一度、花が咲くという幸運の木が、不満に思えました。ところが、今考えてみると、幸運の木に花が咲いた時、長い間幸運の木を丹念に世話をして育てた主人はどれほど嬉しいだろうかと思います。

エクアドル・グアヤキルシオンにも幸運の木のような兄弟がいます。それはペドロ兄弟です。チリ生まれでずいぶん前にエクアドルに留学し、医学部に通っている兄弟は、十数年前に真理を迎えて今まで一生懸命、信仰生活をしてきている方です。

兄弟には誰もが知っている悩みが一つありました。時間さえあれば宣教をしますが、実がないということです。普通、10年近く実がないと「なぜ自分だけ実を結ばないのか」と失望し挫折することもあります。しかし、兄弟は落胆することも、宣教をあきらめることもありませんでした。十年を黙々と待って花を咲かせる幸運の木のように、忍苦の時間に耐えるだけでした。

安息日の午前礼拝を終えて、いつものように食事の準備をしている私に、ペドロ兄弟が興奮した顔つきで近づいてきて言いました。

「今日、友達が教会に来る約束なんだけど、⋯。今、出てみようと思います⋯。3年も宣教したんだけど⋯。連れてきます。祈ってください」

兄弟の切ない気持ちがそのまま感じられ、私は「アニモ」と言って兄弟を励ましてあげました。

兄弟はしばらくして、約束した友人を連れて教会に戻って来ました。ジミーという名前の友人は、兄弟が3年前に知り合った町のファーストフード店の店主の双子の弟でした。ファーストフード店の店主夫婦は兄弟から何度も真理を聞きましたが、主人が自分も教会に行かないだけでなく、心の良い奥さんまで教会に通うことを許さなかったそうです。それでも兄弟は主人夫婦の家族にまで地道に御言葉を伝え、主人の弟を教会に招いたのでした。

心の準備をしてきたかのように、午後の礼拝を終えてすぐに新しい命の祝福を受けたジミー兄弟は、次の安息日に弟の家族と一番上の姉をシオンに導きました。最初は無表情な顔でシオンに入ってきた彼らは、御言葉を勉強してバプテスマを受けた後、顔色が完全に変わりました。

その次の週の安息日にはファーストフード店の女主人が神様の子供に生まれ変わりました。三年待ちこがれて教会に来たその方はシオンの門に入る前から涙まみれになって感動を持て余しました。家族の中で一番先に真理を聞いた双子の兄もまもなく神様の子供に生まれ変わりました。その後、母親をはじめ10人以上の家族が真理を迎えました。

ジミー兄弟の双子の兄だけでなく、ジミー兄弟と弟も町で有名なファーストフード店をそれぞれ経営しています。真理を迎えた兄弟たちは、三日礼拝と安息日礼拝がある日は神様に礼拝をしなければならないと言って、店の前に「火曜日、土曜日は休みます」という文句を書いて貼っておいたそうです。

このように超高速霊的成長をしているジミー兄弟の家族は、神様を敬うことなら心を一つにして乗り出します。礼拝の服装から変わり、清掃奉仕、厨房奉仕などにも積極的に参加します。職業の特性上、午前3時に仕事を終えて帰宅すると、4時頃に寝床に入るのですが、安息日の礼拝を一度も欠席したことがありません。福音の価値を知り、福音の働き手になることを願いながら何事も熱心にする新しい家族がどれほど愛らしく見えるか分かりません。十数年ぶりに実を鈴なりに結んだペドロ兄弟は、家族からのお祝いの言葉に涙を流します。長い間挫折せずに霊的な標柱だけを見つめながら黙々と福音の道を走ってきた兄弟の姿もまた美しいです。神様は誰よりも喜ばれるでしょう。

もしペドロ兄弟のように長い間、福音の結実がなくて気をもめて苦労する家族がいるなら、この言葉を必ず伝えたいです。あなたが霊的幸運の木かもしれないですよ。