家族のことのように

韓国 順天 / ク・ヨンヒ

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2020年の梅雨はとりわけ長かったです。梅雨が明けて晴れ上がった空を見ながら、少しホッとできるかとも思いましたが、水害被災者の方々はそんな余力もなさそうでした。私が住んでいる順天(スンチョン)周辺の都市も、ソムジン江の堤防が決壊し、低地帯の農耕地域はもとより、マンションまで浸水して被害が甚大でした。

被災者の心配を少しでも軽減するため、周辺の教会の家族と一緒に谷城(コクソン)に向かいました。車に乗って行きながら目にした光景は、ニュースで見たものよりかなりひどかったです。ほとんど崩れ落ちてしまった土手、根こそぎ倒れた木、あちこち穴が空き補修作業中の道路…本当に惨憺たるものでした。

1時間ほど走ってウナギの養殖場に着くと、へい死したウナギのにおいが鼻をつきました。すぐに水の抜けた養殖場に入り、あちこちに埋もれていた資材を一つずつ外に運び出しました。軽いものは一度にガラ袋に入れて列に並んで運び出し、重いものは数人が一緒に持って運び出しました。どうしても動かなさそうに見えた鉄パイプの骨組みも、みんなで力を合わせると持ち上げることができました。蒸し暑い天気で汗がダラダラ流れ、ゴム手袋と服、顔まで泥まみれになりましたが、誰一人「疲れた、大変だ」と言う人はいませんでした。むしろみんな、情熱的にボランティアに取り組みました。

そうしているうちに、お昼の時間が近づいてきました。私たちを見守っていたある関係者が、「炎天下で食事をしないでください」と事務所を貸してくれました。おかげで快適な場所で食事を済ませ、もうひと踏ん張りして残りの仕事を終えることができました。その後、養殖場関係者だけでなく、その家族の方々も「有難い、感動した」と言ってくださり、私たちも嬉しく有難かったです。

以前はこんなことがあっても、ただ遠い場所のどこかで起こっていることだと思っていましたが、今は違います。水害現場に直接行ってみたら、すべてのことが自分の家族のことのように心が痛みました。もし突然の災害で困っている隣人がいれば、すぐに駆けつけて痛みを少しでも分かち合いたいと思います。