神様がお導きくださり福音に力を尽くす家族たちが共にいてくれるので

ブラジル サンパウロ / ソル・ユンドク

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私はブラジルのサンパウロで、宣教師として福音の職務に励んでいます。最近、様々な経験を通して神様の御恵みを体験し、福音に取り組む上でどんな心構えが必要なのかを学ばせていただいたので、その悟りを皆さんと分かち合おうと思い、ペンを取りました。

サンパウロ教会では、リベイランプレトにある支教会を管理しています。昨年は神様の御恵みにより、リベイランプレト支教会が新しい神殿をお許しいただきました。感謝しつつも、神殿工事を目前に、心配が胸をよぎりました。リベイランプレト地域は、サンパウロから300キロほど離れているため、サンパウロ教会の家族が仕事を手伝いに行くのが容易ではなかったからです。

人手が足りなくて悩んでいたところ、思いもよらないことが起こりました。サンパウロで建築業に携わっている兄弟が、ぜひ手伝わせてほしいと言ってくれたのです。教会にはたまに顔を見せる方なので、教会での仕事にはあまり関心がなさそうだと思っていたのに、休暇まで取って来るほど積極的でした。兄弟は一週間リベイランプレトに滞在し、毎朝6時から、休まず作業に取りかかりました。私も一緒に仕事をしましたが、兄弟の体力にはついていけませんでした。兄弟が2、3人分の仕事をしてくれたおかげで、たった一週間で工事が終わりました。全ての日程を終え、安息日の早朝にサンパウロに到着した兄弟は、礼拝もささげて天の祝福を積みました。

神殿建築を通して、信仰がひと回り成長した兄弟がもう一人います。タイル張りの仕事をしている兄弟は、数年前に浸礼は受けましたが、信仰を守り続けるには難しい環境にありました。彼が住む地域は、サンパウロから車で31時間ひたすら走り続けてやっと到着できるマタグランジという所で、そこにはシオンがありませんでした。偶然にも、兄弟が妹に会いにサンパウロに来ていた間に、リベイランプレトの神殿建築が行われました。神殿建築の知らせを聞いて、積極的に力を貸してくれた兄弟のおかげで、神殿の内装も美しく仕上げることができました。

兄弟は、神殿工事を無事に終えた後でサンパウロに戻り、休まず聖書の御言葉を調べ、信仰の基盤を築きました。当初計画していた1ヵ月をはるかに超えて、3ヵ月間妹の家で過ごし、週間礼拝と年間の祭りまで完全に守ることができました。五旬祭の祈祷週間には、宣教祝祭にも参加して福音の実まで許されました。兄弟は父と母に対する熱く固い信仰と、故郷に真理を伝えるという覚悟を抱いてマタグランジに帰って行きました。

まもなく、兄弟から連絡が来ました。真理を受け入れたいという人が、10人を超えるというのです。つい最近まで、自分一人掟を守ることさえ大変だった兄弟のことを考えると、何とも驚くべきことでした。急いで駆けつけたかったのですが、サンパウロ周辺の家族に御言葉を教えるのにも一日中大忙しで、すぐに移動することができませんでした。

秋の祭りが始まる前、兄弟からまた連絡がありました。数十人の人々が預言者はいつ来るのかと、首を長くして待っている、と。兄弟からの催促に、同役の執事がマタグランジを訪問することにしました。兄弟は、マタグランジやその近くのフローレスタ地域にまで御言葉を伝えていました。執事が滞在した10日間に、計33人の魂が神様の子どもになる祝福を受け、20人が礼拝を守りました。執事が堂会に戻ってきてからも、二か所の地域で礼拝をささげたという知らせとともに、恵み深いシオンの香りが聞こえてきています。福音の第一歩を踏み出したばかりの家族が、たった一人でこれほど多くの魂をどうやって導くことができたのか、後になって兄弟の祈りの内容を聞いて、何となく分かったような気がしました。

「魂を救う新しい契約の福音の御業は、私たちではなく天の父と母が成し遂げられることであります。全世界の失われた兄弟姉妹を捜す福音の御業が、私の故郷でも必ず成し遂げられると信じております」

福音を導かれ成し遂げてくださる方は、神様です。宣教師としてブラジルに来ましたが、時には神様よりも目の前の状況や条件に目を奪われて悩んだり、躊躇することもありました。にもかかわらず、サンパウロシオンが多くの祝福を受けた理由は、神様がそのつど必要な働き手を送ってくださり、広大なブラジル大陸に福音が伝わっていくように導いてくださったおかげです。家族たちは神様が導いていかれる福音の御業の一角で、少しでもお役に立ちたいという思いで一歩一歩足を踏み出し、力を尽くしました。両親の仕事を少しでも手伝おうとする子供の健気な姿は、神様の目にどれほど愛らしく映ったことでしょう。

私にブラジル宣教をお許しくださった理由は、ここに私の力が必要だったからではなく「神様の祝福の中ではすべてのことが可能だ」という確信と勇気を与えてくださるためだったということを悟りました。神様が送ってくださったその場所で、福音の使命を精一杯全うします。そうすれば、家族たちの連合によって美しく飾られたリベイランプレト支教会も、正しく誠実な魂でいっぱいになるはずです。マタグランジとフローレスタ地域にも、美しいシオンが建てられることでしょう。神様が成し遂げられる福音に、不可能は決してないということを信じて疑いません。