
最近、新型コロナのために農家の人手不足が深刻化しているというニュースを聞きました。ここ尚州(サンジュ)も農家が多い地域なので、人手不足はそう簡単には見過ごせない問題です。近所でブドウ園を営む老夫婦も、人手が足りなくて気を揉んでいるという話を聞き、私たちの堂会では早速、ボランティア活動をする計画を立てました。感染予防対策をしっかりしながらお手伝いをすれば、わずかながらでも慰めと助けになるのではないかと、20人余りの家族と一緒にブドウ畑に向かいました。
二日をかけて私たちがすべき仕事は、ブドウの木の枝から新しく出てくる新芽を取り除くため剪定する作業でした。次から次へと生えてくる新芽をもし取り除かなければ、実に供給されるべき栄養分が分散されてしまい、大粒で品質の良いブドウが収穫できなくなるそうです。手作業で、新芽をその時々に取り除いてこそ、農夫が望む極上の実を実らせることができるのです。
生まれて初めての作業なので、どうにも要領が悪く、手さばきもぎこちないのは仕方ありませんでした。それでも時間が経つにつれ慣れてきたのか、少しずつ手の動きが速くなり、途中で疲れがたまった時は家族とお互い励まし合いながら、元気を取り戻しました。雲が適度に日差しを遮り、涼しい風が吹いてくれたおかげで、数日間続いていた蒸し暑さも何とかしのぐことができました。玉のような汗を流しながら一生懸命作業に取り組んでいた時、ブドウ畑のご主人の顔に、ホッとしたような安堵の笑みが浮かんでいるのが見えました。その瞬間どんなに大きなやりがいを感じたことか。愛を分かち合うことによって得られる本当の喜びとは何なのか、分かったような気がしました。
私にとっては、海外生活を終えて7年ぶりに帰ってきた韓国での、本当に久しぶりのボランティア活動でした。肉体は疲れても、心はまるで乾いた大地に春の雨が降り注いだかのように、しっとりと豊かになったような気がします。また、私の心の中にも不必要な芽が出てきたらすぐに摘み取り、その部分を愛の栄養分で十分に満たしてあげようと思います。そうすれば、いつか粒ぞろいの福音の実を、腕いっぱい抱きかかえることができますよね。