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車に置いて行った愛

209 照会

2020年4月、韓国統営(トンヨン)のとある警察署に不審な通報が寄せられました。通報者の車のドアの取っ手に、いつからかクシャクシャになった紙幣とお菓子が入ったビニール袋がかけてあるようになったというのです。警察は、防犯カメラによって事の顛末をあっさりと解明しました。

実は、この事件の張本人は認知症の症状がある86歳のおばあさんでした。思うように体を動かせない高齢者が、他人の車にお金とお菓子をどうして置いていったのでしょうか?事情はつまり、こうでした。以前、おばあさんの家の近くに息子が住んでいたそうです。ところが息子の車の色が、通報者の車と同じ赤色でした。認知症を患っていても、息子の自動車の色を覚えていたおばあさんが、通報者の車を息子のものだと思い込んで小遣いや食べ物を置いていったのです。

近所の人たちの話によると、おばあさんは生活が苦しかったために勉強を思うようにさせてあげられなかった息子に対して、いつも罪悪感を抱いて生きてきたそうです。長いこと抱いていた息子に対するすまない気持ちと愛を、おばあさんはそうやってでも表現したかったのでしょう。本当に、子供に向けられる母の心には始まりだけがあって、終わりはないようです。