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神様の御心により導かれた場所で

ブラジル サンパウロ / ドリス

445 照会

他人にとっては普段と何ら変わらない一日であったとしても、私にとってその日はとても特別な日でした。ペルーで、笑みをたたえた神様の教会の家族と出会い、彼らが私に天の母の存在を教えてくれたその日、神様は私の心の扉を開いて新しい命の祝福をお許しくださいました。退社後、帰宅した夫も、御言葉を聞いて真理を受け入れ、弟も天の家族になりました。

幼い頃からプロテスタント教会に通っていた私は、当時、宣教が何かも知らずに、人々に神様の御言葉を伝えようと努めていました。夫にも教会に行って御言葉を勉強してみたらと、何度も勧めました。しかし、幼い頃に母親を亡くして苦労しながら育った夫は、「神様がいらっしゃるなら、なぜこんなに苦労しなければならないんだ?」と問い返しました。プロテスタントの人々は、こんな夫に納得のいくような説明をすることができませんでした。

初めて神様の教会に行った時、兄弟姉妹たちは「We Love You!」という挨拶で私たちを歓迎してくれました。神様の教会で真理の御言葉を学びながら、私と夫は自分たちの魂がどこから来てどこへ行くのか、なぜこの地で苦難の人生を生きているのかについての答えを得て、それ以後たびたびシオンに向かいました。夫も、私が神様の御心をよく悟ってそれに従うことができるようにと励ましてくれました。こうして私たちの信仰生活は始まりました。

数年後、一緒に福音の道を歩んでいた私たち夫婦は、家庭内の問題でぶつかったことがあります。当時、自分は信仰があると自負していた私は、夫の心をたびたび傷つけてしまいました。

私の驕りが夫の信仰生活にまで負担をきたしていたその頃、ブラジル在住でたまに電話だけしていた夫の妹エニーが、私たちに会いにペルーにやって来ました。妹に、またいつ会えるかわからないと思い、夫はすぐに真理を伝え、エニーは少ない時間を捻出し、うなずきながら御言葉に耳を傾けました。エニーがブラジルに戻る時、母なる神様を忘れないようにとエロヒストを何冊か手渡しました。その後夫は、エニーと電話で話をするたびにブラジルにある神様の教会を訪ねてみるようにと勧めました。兄がここ(ブラジル)に来たら一緒に行ってみるという妹の答えに、その時シオンに向かっていた夫の顔は笑顔でいっぱいになりました。

その時から二年の歳月が過ぎたある日、エニーが夫に「ブラジルに来て一緒に仕事をしよう」と提案しました。エニーと電話で話しながら、そのことにどんどん関心を持つようになった夫は、私に「一緒にブラジルに行こうか?」と尋ねることもありました。内心ペルーにずっといたかった私は、「ここでも充分満足しているのに、何をわざわざ?」と答えました。

当時の私たちは、他人の目には素敵に見える人生を歩んでいました。若い夫婦が神様の御言葉に従いながら希望に満ちて生きているように見えたはずです。しかし、実際はそうではありませんでした。真理の御言葉を知識的にのみ理解し、私たちを救われるための天の父と母の偉大なる犠牲と愛を、心で悟るまでにはいたっていませんでした。さらに、霊的な祝福より肉的な欲望に、より重点を置いて生きていたため、問題が相次いで起こり、それらが罠のように私たちの足首をつかみ、先に進むことができないでいました。深い闇に向かって、果てしなく落ちていきました。すべてが計画していたのとは反対の方向に流れていき、悪いことが相次いで起こりました。多くの問題を抱えながら息をつく余裕さえなかった私は、深い悲しみと憤り、悲観的な考えにとりつかれました。その時、エロヒム神様が死にゆく私の魂を揺さぶり目覚めさせてくださいました。

「ブラジルに行こう。」

夫の電話に、結局心機一転、一緒に行くことにしました。そうして涙と後悔と不安をずっしり抱えたままペルーを離れ、ブラジル・サンパウロに到着しました。初めて来た上にポルトガル語も話せず、シオンにちゃんと到着できるか心配でしたが、エニーが私たちと同行しながらシオンまで案内してくれました。シオンの前に着くや否や、いろんな思いが入り混じりました。

「ここが本当に、天の母を信じる神様の教会ですか?」

サンパウロシオンの家族は、私たちを温かい笑顔と愛で出迎えてくれました。見知らぬ土地でシオンを探し当てたのが本当に嬉しくて有難かったです。その日の安息日はとても安らかで美しい一日でした。この世では国家間での差別があったり、大陸や民族によって扱い方が異なりもしますが、シオンの愛は世界中どこに行っても同じでした。

ブラジル生活も10年ほどになり、ポルトガル語を自由自在に話せるエニーは、私たちのためにたくさんの御言葉を通訳してくれました。私たちと一緒に安息日を守り、エロヒム神様の真の愛に大きく感動したエニーは、このように純粋な愛がこの世に存在するということに驚きを隠せない様子でした。夫と同じく両親の愛を受けられず、苦しい日々を過ごしてきただけに、余計にそうだったのではないかと思います。この世で傷ついたその心をエロヒム神様が慰めてくださり、命の道に導いてくださいました。新しい命の祝福を受けてから、「自分を訪ねて来てくれてありがとう」と話す姉妹を見ながら、神様が私たちをブラジルへ導かれた御心が、まさにこれだったことを悟りました。

真理の内で真の幸せを感じたエニー姉妹は、職場でも、地下鉄でも御言葉を伝え、電話しながらも、人々に真理を伝えました。天の父と母の懐で新たに生まれ変わった姉妹は、今まで生きて来ながらずっと自分を束縛してきた内面の闇と障壁も取り去り始めました。あらゆる試みや苦難が訪れたりもしましたが、姉妹は過ぎし日を悔い改め、天の父と母に従うために努力しました。天の家族と共にいてこそ、本当に幸せでいられるということを悟った姉妹は、過去の闇に包まれた人生に完全に背を向けました。

現在エニー姉妹は、懐かしがっていたペルーに戻って信仰を守っています。エニー姉妹がシオンに導かれてしっかりした信仰を持つまでの過程を見ながら、エロヒム神様が一人の魂を救うために施される限りない愛を、少しですが悟ることができました。私は神様を賛美するにも、神様の深い御心を悟るにも、極めて至らない存在ですが、神様が下さった今回の福音の経験は、私の心の奥底に深く刻み込まれました。

以前は信仰と忍耐が足りず、ちょっとした問題にも苦悩し、到底解決できないような気がして不安になりました。問題から逃げ出したくて、それだけが私の人生にとって一番いい解決策のように確信しましたが、当然思い通りにはなりませんでした。いくら方法や場所を変えてみても解決されず、むしろ問題はそっくりそのまま返ってきました。しかし、いくら苦しいさなかにあっても、応援し導いてくださる天の母の温かい御手が、いつも差し伸べられていました。私は自分が本当に御母様に愛されている子供だということを実感しました。

今、私と夫はブラジルで70億人宣教に力を尽くしています。私たちがどこにいようとも、そこが神様の御心により導かれた場所なので、与えられた福音の使命を一生懸命果たすつもりです。

「天の父と母に喜んでいただこう!」

この一つの願いのもと、一つにまとまり福音の使命を全うできるように心から祈ります。足りない私たちに、神様の救いの御業に参加する祝福をお許しくださった天の父と母に、限りない感謝をささげます。