チリ山とソムジン江の間に位置する求礼市は、柿の産地で有名です。ところが、今回の梅雨でソムジン江の堤防が決壊したため、柿農園が大きな被害を受けました。早く復旧作業をしてこそ、柿の木を生かして残りの柿を収穫することができるのですが、農場を運営する高齢者の方々は、猛暑のため長時間働けない状況でした。
困っている農家を助けようと、神様の教会社会人青年奉仕団アセズワオ(ASEZ WAO)の家族たちと共に求礼市のある町を訪ねました。町長は「蒸し暑いのに、来てくださってありがとうございます」と言って私たちを歓迎してくれました。
農園の規模も大きいのに、木々がほとんど倒れてしまい、完璧に復旧させるには、かなりの時間がかかりそうでした。到底一人ではできない仕事だということを直感しました。農園の主であられるお年寄りが、なんとかして木を生かそうと手を尽くし、途中でやめた形跡もありました。
ひどい洪水に見舞われたにもかかわらず、数本のデボン柿(日本の蜂屋柿)の木は緑色の実をつけていました。「今回の復旧作業が、間もなく訪れる収穫期のための最後のチャンス」とある方が言われた言葉が耳に残り、私たちは木に実っていた柿がよく熟して収穫されることを切に願いながら作業に取り組みました。
区域を分けて作業を始めた私たちは、腐ったり、ひどくひん曲がって立て起こすことのできない枝はのこぎりで切り、辛うじて生きている枝は引っ掛かっているゴミや泥を取り除いてやり、農園まで流れてきた大小のゴミはガラ袋に入れて外に運び出しました。
猛暑の中、若い私たちでも滝のような汗が出るのに、農園の主のお一人であるお年寄りが休まず一緒に働いていらっしゃいました。心配になって「少し休憩されながらしてください」と言ったら「ボランティアの方たちが重いビニールとホースを運び、服に泥がつくことも気にしないで一生懸命働いているのに、どうして休んでいられますか」と言いながら感謝してくださいました。
おそらく私は隣で一緒に活動する家族がいなかったら、照りつける日差しの下、最後まで耐えることができなかったと思います。家族たちは、自分がつらい様子を見せたら、周りの人にも良くない影響を与えるかも知れないと思い、一言口にするにしても配慮する言葉、力になるような言葉を言いながらお互いに励まし合いました。水害を被った農民の方々のお役に立ちたいという一心で、笑いながら働くみんなの姿はとても感動的でした。
今秋、連合と配慮で整備された農場で、おいしそうによく熟した柿が、お年寄りの方々に喜びと慰めをもたらしてくれることを心から願います。