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​幸せな料理の時間​

韓国龍仁/ムン・ガンサン

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今年の旧正月のとき、中学生の私はごちそうの準備で忙しい母を少しでも手伝いたいと思いました。まずは、食材を調達するために買い物に行くという母について行き、カートを押しながら母にちょこちょこついて歩きました。そしていよいよ料理を作る当日、私はいつもより少し早起きして、母を手伝い始めました。

その日のメイン料理はサンジョク(韓国式串焼き)。私はサンジョクに入れるハムを切りました。「ハムを切るのは私の仕事!」と自信満々に叫んで切り始めましたが、ハムは私が思うようにはうまく切れませんでした。大きさも形も、まちまちになってしまいました。母は「何、これ?」と笑いながらも、お疲れ様と言ってくれました。ハムを切り終えたら今度は炒めるというので、また私は身を乗り出しました。

「ハハ、炒めるのは私の得意技よ!」

ところが…あぁ、炒めるのも一筋縄にはいきませんでした。ハムが焦げないように気をつけながら、全体をまんべんなく炒めようとするのですが、ハムはフライパンの表面にくっついて、微動だにしませんでした。やっとの思いで炒めましたが、思ったより難しくて苦労しました。

どうも料理を手伝うよりは、母が料理に精を出すため笑わせるのがよさそうだという気がしてきて、戦略を変えました。きれいに洗ってあった長ネギ1本を取り出し、まな板の上に置いて「アビョー!」と叫びました。笑いながら止めようとする母にネギを切る妙技を披露した後、心を落ち着かせてから再び料理の手伝いを始めました。しかし、その後もずっと母を笑わせてばかりでした。

その日、母と私は料理よりも笑うことに時間を費やしてしまいました。あまり母の役には立てなかったのが申し訳なかったけれど、母とひとしきり笑い合ったことで母を楽しませることができ、私もまた幸せな時間でした。