のり巻きを作りながら

韓国 水原 / キム・ユラ

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私は幼い頃のり巻きが好きでした。遠足や運動会の日には、母がいつものり巻きを作ってくれました。そのためか特別な日にのり巻きを食べるのは当たり前だと思っていました。

歳月が流れ私も母親となり、子供の遠足の日に、母がしてくれたようにのり巻きを作ろうと心に決めました。でものり巻きが、こんなに手がかかる食べ物だったなんて知りませんでした。前日買い物をして食材の下ごしらえをし、遠足当日は早朝から起きてご飯を炊き、ハム、かまぼこ、にんじんを炒め、卵焼きを作りました。

ついに具材の準備が終わり、本格的にのり巻きを作ることに挑戦!のりの上にご飯を薄く伸ばし、材料をどんどんのせて巻きましたが、思ったほど簡単ではありませんでした。手に力を強く入れすぎるとのりが破れてしまい、力を抜くと材料の間に空間ができ、のり巻きを切る時に具材が抜けてしまいました。試行錯誤の末、やっと適度にしっかりと巻くコツをつかむと、なんとか時間内にお弁当を完成させることができました。

子供にお弁当を持たせてから台所を見回してみると、なんともまあとんでもないことになっていました。椅子に疲れた体を預けていると、ふと母のことを思い出しました。実は、うちの母は手が不自由です。右手の人差し指と中指が半分ずつ切断される事故に遭ったからです。母はその手でおいしいご飯も作ってくれて、毎朝髪の毛もきれいに編んでくれました。

それでも大変そうな素振りは一度も見せなかったので、お母さんが大変だとは思いもしませんでした。むしろ、友達に母の手について聞かれたときには恥ずかしく感じました。過ぎし日の自分の姿を振り返ると、本当に母に申し訳なく、恥ずかしくて涙が出ました。私をとても愛しているからこそ、その辛さをすべて耐え抜いてくれたのでしょう。母の愛を心底悟るまでにはとても長い時間がかかったようです。

今も母はたまに、のり巻きを作ってくれます。孫たちは、おばあちゃんののり巻きが一番だといいます。母は子供たちがのり巻きを食べる姿を見て満足そうに微笑みながら、おいしいと言って食べてくれてありがとうと言います。そんな母に、慣れない手つきで私ものり巻きを作ってあげようと思います。そして、これまであまり表現できませんでしたが、今度は必ず言いたいです。感謝していると、愛していると。